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それでも、延寿は我慢した。延寿がどんな立場の人間か知った後宮の美女達が、辺境の地へ行きたくないがために、我先に、と延寿へ袖の下(賄賂)を贈っていたからである。
どんな高価な宝石でも辺境の地へやられるくらいなら、惜しくなかった。
延寿は、美女達を美女として描いて、陛下に見せる。陛下は美女を嫁がせるなど勿体無い、と却下する。
延寿はそれを狙っていた。昭君も袖の下を寄越すだろう、と。しかし、その当ても無く、延寿はとうとう激怒した。昭君をわざと醜く描いたのだ。
最も昭君は、贈ろうにも贈る物も無かったようだが、贈る気も無かったのである。
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