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これに対する漢からの返事は、あまりにも素っ気ないものだった。
曰く。そなたは、既に漢人では無く、匈奴人。匈奴の掟に従う事が良いだろう。
この手紙を読んだ王昭君は、一体どんな思いが胸中を駆け巡っただろう。
おそらくは、漢に見捨てられた……と思うより、それもそうか、と納得したのではないだろうか。何しろ、彼女はとても聡明な女性なのだから。
既に匈奴人。けれど、漢と匈奴の関係を取り持つ象徴である自分。
考えた末に、王昭君は、復株累単于に返事をする。
曰く。あなたの妻になりましょう。けれど、私があなたの住まいに行くのでは無くて、あなたが私の住まいに来て下さい、と。
王昭君は、呼韓邪単于に嫁いだ時、漢風の住まいを建ててもらっていた。どれだけ呼韓邪単于がこの婚姻を楽しみにしていたか、解るだろう。
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