後宮

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 しかし、そんな美女達の陛下の寵愛争奪戦には、全然、全く、一向に興味が無い美女がいた。  王昭君その人である。  後宮に入ってしまったものは仕方がないが、争ってまで陛下のお手がついて欲しいとは全く思っていない。  大好きな書物を読み、書き物を書き、琵琶を弾いて庭を散策する毎日を送っていた。  ある意味、なんとも優雅な毎日を送っているのである。  後宮にいる以上は、ひもじい思いをしない程度に食べられ、着る物も粗末ではない。衣食住の三拍子が揃った後宮生活は、争わなければそれなりに快適であった。
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