17人が本棚に入れています
本棚に追加
だが、快適な生活とは裏腹に、昭君は気が晴れぬ日々を送っていた。
元々身体を動かす事が大好きな昭君は、自分の住まう室内(ヘヤ)の掃除をしているが、それだけでは退屈だった。広い後宮であるがゆえに、庭の隅の方まで手入れが届いてないように思えた。
そんな一角を手入れして、花でもいい、野菜でもいいから育てたい、と思っていた。実家にいる時は、そんなこともしていたのである。
ふと、実家を思い出した。後宮入りを手放しで喜べなかった両親は元気だろうか? 年の離れた弟は……。庭に植えた花は、今頃は見頃を迎えているだろうか、と。
最初のコメントを投稿しよう!