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そして、和田小太郎は、
(延期とか、するなんてありえない。
とりあえず様子を見てどうにかしなくては)
と思って、高いところに登って、雲や水面を見渡すと、
西の川端に、馬を連れた男が東側を向いて立っているのを見つけた。
和田小太郎は大声で、
「あのー、西の川辺にいるのは誰ですかー?名乗ってくださーい」
と言った。
大沼さんはこれを聞いて、
「あー、和田小太郎だよねー?」
と言われるも、小太郎は覚えていない。
「えっとー、僕のこと知ってるみたいなんですけどー、僕は覚えてませーん!」
「俺は大沼三郎っていうんだけどー!」
「え?大沼さん?それで、そこで何してるんですか?」
「いやぁそれが、頼朝っちに加勢しようと思ってきたんだけど。
戦いが終わったからさ、それを言おうと思ったんだよ。
だけど、こんなに増水してるとか知らなかったし。
それに乗ってきた馬も、見てわかるくらい疲れちゃったし。
よかったら元気な馬くれない?
それ乗ってそっち行くよ」
「可哀想ですね。急いで馬を連れてきてください」
部下「あいあいさー」
と、背がでっかくて強い馬を選んで、大沼さんの元へ行かせた。
大沼さんはその馬に乗って、和田さんのいるところに向かって川を渡り、馬から飛び降りて大きく息をついた。
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