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さて、三浦さんたちは、治承4年8月10日、衣笠城(きぬがさじょう)を出て、石橋山へと向かった。
…んだけど、その道中の鞠子川(まりこがわ)が洪水してて、馬も人も渡れない。
次の日まで待ってみたけど、やっぱり渡れそうにないし、今日も延期か…。
和田小太郎は馬を連れて、
「あの、戦いの日程は前々から決まってるんですよ。
それなのに延期とか、僕はそんなのダメだと思います。
早く行って殺ってきちゃいましょうよ、殿」
と言ったのに、
「おぅおぅ殺っちまおうぜ!」
と皆は同調した。
鎌倉の通りに沿って、腰越(こしごえ)、稲村(いなむら)、八松が原(やまつがはら)、大磯(おおいそ)、小磯(こいそ)を通る。
普通なら2日で行くところを、1日で行って、佐川の宿に着いた。
300ちょっとの部下たちは洪水が治まるのを待ち、
「朝日が出てから渡ろう」と言って、
宿から離れた八木下(やぎした)という所に、各自で降りて居座った。
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