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今日の先輩は少し長い髪を後ろで緩く束ねてハーフアップにしていた。
服はシンプルに白シャツと薄い色のダメージスキニーパンツで、手にはちょっとゴツい指輪をはめている。
うわー、なんだろう。全てがセクシー?
…男の人にセクシーって言っていいのかわかんないけど。
「 何~?見惚れた?」
流し目でこちらを見る白哉先輩。
見つめていたのがバレたのだろう。
「 …はい。先輩はかっこいいなって思って。」
素直にそう答えると、先輩は少し目を見開きこちらに顔を向けた。
そして途端に笑顔になり、
「 知ってる~。」
なんて言うもんだからちょっとムっとしたけど、自他共に認めていいイケメンだから文句を言えなかった。
カメラをインカメにして目の前に出す先輩。
縦なので2人が画面に入るように必然的に顔が近くなる。
どうしよう…なんか緊張しちゃってレンズを見れない。
右側にいる先輩をチラリと盗み見ると、先輩もこちらを見ていた。
きゅっと息が詰まる。
なんでかわからないけど目が離せない。
こういうのが蛇に睨まれた蛙って言うのっ?
いや、違うな。
まず睨まれてないし!
先輩の顔が更に近づき
なんとなく
なんとなくだけど、
キスされるんじゃないかと思った。
そう思った瞬間、何考えてるんだと自分を戒めて、ぱっと目を逸らしカメラを見直す。
心臓の音がうるさい。
画面の中の先輩はまだ、僕を見ていた。
「 ざんねーん。」
そう小声で言われて更に顔が赤くなる。次の瞬間パシャリと音がして、僕は不安そうな、先輩はすでにカメラ目線でいつも通りかっこいい先輩の写真が撮られていた。
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