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え…
僕、悪いことしたかな?
図々しかった?
自分の顔が不安そうになっていくのがわかる。
「 あ、あの…」
何かありましたか?って声を出すつもりだったのに続きが出てこない。
すると先輩はいきなり「ふっ」と笑いだして、片手で顔を覆った。
「 せんぱい…?」
わけがわからなくて更に不安になる。
「ごめんごめーん。嫉妬しちゃったぁー。」
ん?
「 ねぇハルちゃん。背景変えるの、俺だけにしてよ。」
そういって口角を上げて僕の方を見る白哉先輩の目だけは笑っていない。
先輩は良く"嫉妬"と言うが、なんで嫉妬しているのかはわからない。ただ前も何回かこんなことがあったから、どうすればいいのかはわかっていた。
こういう時、何故かわからないけど母親のような気持ちが芽生えて、先輩を安心させてあげたいと生意気にも思ってしまう。
「 わかりました。じゃあ2人だけのお揃いですね。嬉しいです。」
そういって微笑むと、先輩の表情も和らいでいく。
白哉先輩が独占欲の強い人だというのは何となくわかる。
それは決して僕に対してだけではない。気に入った物や自分の大切な人に執着している節があるのだ。
僕はその独占欲を煩わしいと思ったことは一切ないし、むしろ嬉しい。
恋人が出来たことがないからわからないけど、誰かに執着心を向けられるというのは少なからず嬉しくなるものだと思う。
友達も同じ。
でもその度、みんなから愛されている白哉先輩の"束縛"に少しだけ優越感を感じてしまう自分がいた。
なんか嫌な人だけどね僕。
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