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ードンっ
急に後ろの壁を叩く音がして、身体がビクッと反応する。
はっと後ろを振り向くと、そこにはコタがいて、拳を握った右手を壁に当てていた。
多分音の主はコタ。
急激に血の気が引いていく。
その理由もわからないまま、気づくと僕の両手は白哉先輩を突き離し、足はコタの方へと向かっていた。
「 ど、どうしたのコタ。廊下で会うなんてあんまりないよね。」
はははっ
と、乾いた笑いが口から出る。
…待って、やばい。
僕今何をした?
白哉先輩のこと結構な勢いで突き離しちゃった…?
どうしよう。
先輩の顔が見られない。
そしてコタの顔は僕を見ずに、多分白哉先輩を睨んでいる。
コタは元々白哉先輩が苦手みたいで、僕と先輩が話していると朝のようにかなり冷たい態度をとる。
そこまで嫌っている理由が僕にはわからなかったけど、冷たくするのは半分は冗談まじりなんだと思っている。
背中に視線を感じる。
たぶん白哉先輩はコタと睨み合っているわけではない。
僕を見ているんだろう。
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