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ゆっくりと後ろを振り向く。
先輩の表情は読みにくいけど、僕には悲しそうに見えた。
先輩は僕と2人で居る時に過剰なスキンシップはしないけどコタや他の人がいると結構過激なことをしてくる。
多分からかっているんだろう。
もしかしたらさっきも、僕のおでこにキスする前にコタと目が合っていて、それでコタはからかわれたとわかりここまで怒ったんじゃないか?
…とりあえずこの状況を打破しなきゃいけない。
「 コタ、今から先輩のお仕事手伝いに行くんだ。また明日朝9時に迎えに来てくれる?」
そう言ってコタの右手を握る。
内心、許してあげてコタっ!
先輩はイタズラしたかっただけなんだ!(…たぶん)
という気持ちを込めて。
手を握られたことで、コタがようやくこちらを向いてくれた。
「 明日、9時ね!」
ぎゅっと手をもう一度握り返す。
「 …わかった。」
それだけ言って、コタは僕の手からスルリと手を引き離れて行った。
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