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「 ハルちゃんには嫌われたくない…。」
小さい声で呟く先輩。
「 嫌うわけないじゃないですか。でもコタの前で意地悪するのはやめてください。」
要らぬ誤解をされちゃうので、そこはきっぱりと言うべきだと思った。
「……………なんで?」
なんでときたか!
「 コタは多分誤解してるんですよ。僕が先輩に弄ばれてるって。いや、正確には多分遊ばれてるんでしょうけど…。」
「 …ふふっ。遊んでないよー。」
いつもの口調の先輩に戻った。
と、同時に先輩は起き上がり、僕の鼻先にキスをした。
「 あっ」
みるみるうちに僕の顔が赤くなって行くのがわかる。
「 …ぅ。からかったんですか?」
苛立ち気味の声になる。
恥ずかしくて顔が見られない。
「 違うよー。僕の素を見せるのはハルちゃんだけ。今のは照れ隠し~」
そう言って今度こそ離れていく先輩。
やっぱり掴めない人。
何が本当で何が嘘なのかわからない。
でも僕に見せてくれた弱気な先輩は、本物だと信じたい。
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