間の項「火乃山都千年の仇敵」

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…辺り一面は暗闇。 闇の中、レイカの前に鋭い爪をもつ獣の足だけがはっきりと見える。 その存在を認識した瞬間、鋭く空気を切り裂く音が聞こえた! 眼前を通り過ぎていく爪を後退して回避すると、手に持つ薙刀(なぎなた)で素早く反撃する! しかし姿の見えない相手は難なくこれをかわし、暗闇に紛れるーー レイカは心を落ち着かせて、冷静に次へ備える。 その刹那、刺すような殺気が背中越しに伝わってくる! 一文字に横へ振られる爪を屈んでかわし、反転すると同時に下から切り上げる。 「!?」 今度は手応えがあったーー 「今です!リーン!!」 レイカの言葉は虚(むな)しく闇に木霊(こだま)する… 「…そうだ…リーンは…」 一瞬の気の緩みは、相手に十分な反撃の機会を与えてしまう… 「!?しまっ…」 爪はレイカの頭から足にかけて真っ直ぐ振り下ろされたーーー
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