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ひと月後ーー
祭りの余韻(いん)も漸(ようや)く収まってきたという頃、コバヤカワ家に1羽の白い鳥が訪れる。
「手紙~手紙~」
「むっ?」
のっぺりとした顔のデンゴンカラスがコバヤカワの腕に留まると、嘴を器用に使って首から下げた赤い書簡入れから一通の手紙を取り出した。
「ーーあぁ。何時ものヤツか」
「あれ?チヨ姉様、お手紙ですか?」
デンゴンカラスが飛んで来るのを見て、偶々(たまたま)昼食をご馳走になっていたレイカも、もちもち餅をみょいーんと伸ばしながら顔を出す。
「この時期になるとロスオータム大陸で大きな武術大会が行われていてな。毎年チヨ宛てに参加要望書が届くのだ」
「ぶひゅふはいふぁい?」
急ぎ口に残るもちもち餅を片付けようと一生懸命噛み続けながらレイカが聞き返す。
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