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「…行儀悪いぞ、レイカ」
コバヤカワは食べながら喋るレイカを軽く咎める。
「ーーんぐっ。ごめんなさい…それより武術大会って?」
「むっ?興味あるなら出てみるか」
「え!?」
思わぬ発言にレイカが驚きの表情を見せる。
「チヨは重責を担う身ゆえ大会には出られん。あまり興味も無いのだが…とはいえ毎年誘いを断るのも忍びない。もしレイカが出場したいなら代わりに推薦状を書いてやるが、どうする?」
突然の誘い
少しだけ戸惑うレイカだが…
ーー再び外の世界へ飛び出せる。
既に心は決めていた。
『…やります、是非やらせて下さい!』
その真剣な眼を見て、コバヤカワは大きく頷いた。
「よし。ではこの一年間、チヨがみっちり鍛え上げてやろう」
「へっ?近日開催されるんじゃないんですか?」
てっきり直ぐに火乃山都を発つと思っていたレイカは素頓狂(すっとんきょう)な声を漏らす。
「何を言っている、今からでは話が着かんだろう。それに出るからには火乃山都の代表として無様な試合はさせられん。一から鍛え直してやるから覚悟しておけよ?」
「ひぇぇ…」
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