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一年後、レイカは鍛錬の総仕上げとしてコバヤカワから修練場に呼び出されていた。
いつもは子供達の精進する声が元気良く響いてくる修練場も今日は休みらしく、しんと静まり返っている。
そして、その前では腕を組み仁王立ちでレイカを待ち構える人物。
「…来たかレイカよ、準備は整ったようだな」
コバヤカワがジッとレイカの顔を見つめると、静かに頷いて応える。
「…よし」
レイカの意思を確認したコバヤカワが内容を伝える。
「今から修練場の中に居る者と勝負し、見事勝利してみせよ」
「…え、チヨ姉様が相手じゃないんですか?」
「レイカよ、自惚(うぬぼ)れるつもりはないが、まだお前はチヨの足元にも及ばない」
はっきりと力量差を指摘され、レイカはガクリと肩を落とす。
「ーーだが、今のお前ならこの者とも対等に渡り合えるだろう」
コバヤカワは勢い良く修練場の引き戸を開く。
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