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決闘から数日後ーー
荷物をまとめたレイカは出発まで大分時間がある事から、帰省した時と同じように家の掃除をしていた。
「ふぅっ…これくらいでいいかな?」
ピカピカに磨いた床を見て満足そうに頷くレイカ。
最後に手入れした舞姫咲良を自分の部屋に飾ると、刃の下部から蝶柄の花飾りを幾つも垂らした淡(あわ)い紫色の真新しい薙刀【ふじゆら】を手にする。
ミズノに勝利した後日、コバヤカワより渡されたこの薙刀は、火乃山都でも免許皆伝と認められた達人にしか送られない逸品である。
ーー玄関を出るとレイカは振り返り、深々と頭を下げる。
「父様、母様。レイカは行って参ります。私やソウ兄様が帰ってくるまでどうか家をお守り下さい…」
頭を上げると、レイカは我が家をしかと目に焼き付け、港まで振り返らずに駆けて行くーー
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