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「ーーレイカはそろそろ港に着く頃かな」
「そうですね、もう船に乗り込んでいるのではないでしょうか」
村外れの丘から船着き場を見下ろすコバヤカワとミズノ。
下では船員がせわしなく積み荷を運び込み、出港の準備で大忙しといった様子だった。
「レイカさんが居なくなったら寂しくなりますね」
「…さてな」
無愛想な返事を返すコバヤカワは、出港間際の船をぼぉっと見つめている。
分かりやすいコバヤカワの態度に、思わずミズノはクスリと笑みを零(こぼ)す。
するとそこへ巡回中の六花隊が数名訪れると、本日も異常なしとの報告を受けてから他愛もない会話を二三交わした。
「そういえば、港でレイカ殿の姿を見掛けましたが、何処かへお出掛けになるのでしょうか?」
「む?レイカは火乃山都の代表としてロスオータムの武術大会に参加する旨(むね)は伝えた筈だが…?」
それを聞いた隊員達はざわめき立つ。
「えっ?ですが、さっきーーー」
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