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乗船したレイカは船室に荷物を置くと、甲板に上がった。
「プー!プー!」
丁度その時、出港のラッパが鳴り響く。
心地良い風が流れてくると、海門桜の花弁がレイカの艶やかな黒髪を撫でる。
「ーーぃ、ぉーい…」
遠くからレイカを呼ぶ声に気付くと、船に向かってコバヤカワ達が走って来た。
「あっチヨ姉様、ミズノ様に六花隊の皆さんも!」
船が波止場(はとば)から離れていくと、魔導石から発する風を受け、マストが大きく広がり一気に加速する。
波止場の端まで駆け寄ってきたコバヤカワ達は大きく手を振っていた。
「ふふっ見送りはいいって言ったのに。皆さーん!行って来まーす!」
沖に咲き誇る海門桜のアーチを抜けると、港はもう見えない。
レイカは真っ直ぐに海の先を見つめる。
「リーン、ロイドさん。また、会えるかな…」
「はぁ…はぁ…間に合いませんでしたね…」
「むぅ…レイカめ、ロスオータムとスプリングリット行きを乗り違えるとは…困った奴だ」
『終』
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