【9】

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. 下駄箱で靴を履きかえて、教室まではあと少し。 寒い廊下に温かな日差しが差し込む。 雪は止んで、雲の隙間から見えた青空を窓から眺めていると、隣にいた百香は静かに口を開いた。 「私……失恋したんだ。」 「えっ、誰に?メールの大学生?」 って……メールの大学生の人とは、随分前に終わったって言っていたっけ。 いつも私の相談にばかり乗ってくれるから、百香はあまり自分のことを話さない。 男性遍歴が多いことだけは確かだが……。 すると、彼女はふと足を止め、俯きかけた顔を上げることなく呟く。 「……颯。」 「え!?」 「驚いちゃったよね? 颯のことは、誰にも話していなかったから……」 「……。」 驚いたのは言うまでもない。 けれども同時に、罪悪感でいっぱいになった。 颯の気持ちを知っていたから、彼女にかけてあげられる言葉が見つからない。 「……そんな顔しなくても、私……ずっと知ってたから。」 「え……?」 .
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