4083人が本棚に入れています
本棚に追加
/518ページ
*****
新学期恒例の始業式と大掃除が終わると、今日の予定は終了。
午後からは青陵の図書館に行って、風見君と一緒に勉強会。
一緒にいられるというだけで、勉強という名目が輝いて見えるから不思議だ。
雪道をザクザクと音を立てながら掻き分け、一秒でも早く彼のもとへと急いだ。
「唯、こっちだよ。」
寒い中、校門の前で私が来るのを待ってくれていた風見君。
その優しさが心を温かくする。
「待った?」
「うん、1時間くらい待った。凍死しそうだった。」
「え!?」
「ふっ……嘘だよ。ついさっき来たところ。」
「もーっ!! 意地悪っ!」
こうやって時間を共有することで、今までは知らなかった彼の一面が、どんどん浮き彫りになってくる。
少し意地悪な冗談を口にするところ、笑顔がたまらなく素敵なところ。
いつも優しく手を握ってくれるところ。
全ての要素を含めた彼が、もっと好きになっていく。
「友井君は中で待っているの?」
「ううん、あいつ部活あるから……後で来られそうなら合流するって。」
.
最初のコメントを投稿しよう!