4083人が本棚に入れています
本棚に追加
/518ページ
*****
大きな庭のある和風な雰囲気の平屋。
そこは風見君の御祖父さんの家で、彼の住まいだ。
「どうぞ、上がって。」
「お邪魔します……。」
広々とした玄関、中から洩れる温もりが冷え切った身体を包み込んでくれる。
ここが、風見君が生活している空間なんだ……。
そして、鈴音とともにやって来たのは、彼の小さな家族だった。
「かわいい!! 猫だぁ!」
私を出迎えてくれたのは、丸い尻尾の三毛猫だった。
ミャーと可愛らしい鳴き声を上げる。
そっと首元を撫でると、ゴロゴロと音を鳴らしながら満足気な顔をした。
「ミケが家族以外に甘えるなんて、珍しい。」
「そうなの……?」
「うん。もしかしたら、唯のこと……俺の大切な人だって気づいているのかな?」
そう言って、同じようにしゃがみ込んで、ミケの身体を優しく撫でてあげる風見君。
その横顔は見惚れそうになるくらいに、とても優しげだった。
するとそこに、ゆっくりと足音が近づいてくる。
「あら、いらっしゃい。」
.
最初のコメントを投稿しよう!