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風見君の本音が見えないまま、彼が貸してくれた普段着に着替える。
少し大きめのパーカーとスウェット。
彼の温もりに包まれているような気がして、少し恥ずかしい。
「……唯には少し大きいね。」
「うん。でも温かい……」
余った袖部分を折り曲げ、長さを調節してくれる。
まるでお母さんのように。
「……風見君って、意外と面倒見が良いね。」
「意外って……少し失礼じゃないか? 」
「そんなことないよ! 最高の褒め言葉だってば。」
本当にそう思ったから力説すると、風見君はフッと小さく笑う。
傍にいるようになって、何度も見せてくれるようになった笑顔。
「……変な奴だとばかり思っていたのに。どうしてこんなに、好きになっちゃったんだろう……。
一緒にいる時間が増えるにつれて、どんどん好きになっていくんだ。」
そう言って、大きな手が私の頬を包み込む。
大切なものに触れるように。
伝わる温もりに、壊れてしまいそうな程に胸が激しく高鳴っていく。
「もう1回、キスしてもいい……?」
「うん……。」
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