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近づきすぎると心臓が破裂しそうなくらいに苦しいのに、離れてしまうと少し寂しい。
慣れない距離に微かな戸惑いと歯痒さと、それから程よい緊張感とが入り混じる。
もう、寝ちゃったかな……。
もう少し、傍にいたかったかな……。
そんなことを考えながら、ゆっくりと微睡の中に落ち始めていると、頭元に置いていた携帯電話が暗闇の中で光った。
こんな時間に誰だろう……?
―― 唯、もう寝た?
壁の向こうからのメール。
それは私と彼が、同じ想いでいることを物語っていた。
―― ううん。まだ起きているよ。
そう返事をするよりも、隣の部屋に会いに行ったほうが断然に早いのに。
そこまでの大胆さはない私は、風見君の温もりを残したパーカーに顔を埋めることが精一杯。
想いが繋がるって、こういうこと……なんだよね。
頬に触れた温かい手、柔らかい唇の感触。
少し照れた彼の顔に、壊れそうな程の心臓の音。
目を閉じれば、走馬灯のように蘇ってくる1日の出来事。
こんな愛しい日々を積み重ねて、きっと私たちはより深く結ばれていくのだろう。
初めての恋も、初めてのキスも、教えてくれたのは彼だから……。
この変わらない想いと共に。
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