【10】

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. 「な、ならないよ!!」 「そう? 唯が気づいていないだけで、向こうはずっとチャンスを狙っていたかもよ?」 「そんなこと………」 デートのときは手も繋ぐ。 2人きりになればキスもする。 しかし、それ以上のことはまだ考えられない。 それは風見君も同じだと思っていたけれど、百香の言うとおり、私が鈍感だっただけ……? 「ごめん。唯の反応があまりに初々しいから……意地悪言っちゃった。」 「……もう、冗談はやめてよ。」 そう言いながら、膨れっ面で仕返しをするも、小さく微笑まれるだけで効果は全くなかった。 不意に見せる大人びた柔らかな笑顔は、百香の魅力でもあり反則技だ。 「きっと……唯は、大切にされているんだよ。それは幸せなことだよ。」 「……。」 「私も早く……そんな相手に、出逢えたらいいのに。」 百香はもう、颯のことは吹っ切れたのだろうか……。 あれから他の男の子との話は何度か聞くけれども、颯の話は一切出てこない。 今までは日常茶飯事だった皮肉さえも。 私も、あの告白をされた日から颯とは、何となく気まずくて距離を置いてしまっている。 色んな女の子と相変わらず遊び回っているという噂を、人伝に聞くくらいだった。 .
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