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「唯、どうかした?」
「ん、何もないよ! お腹空いたなぁって思って。」
「腹減り過ぎて無口になるとか、余程我慢していたんだなぁ。はい、唯の分。」
そう言って風見君は、私にハンバーガーを渡してくれる。
ちょうど昼時のファーストフードは沢山の制服姿で溢れ返っていて、その中には青陵の制服を着た人も疎らにいた。
「ねぇ……風見君は……」
「何?」
私なんかと、キス以上のことをしたいって思っているの……?
百香の言葉に触発されたつもりはないけれど、一度気になったら頭から離れない性分。
4ヶ月という期間はカップルにとって、どれくらいの価値があるものなのか……。
「その……気になったりしない? こういうところで、知り合いに会わないかなって。」
正直、どうでもいい質問だった。
無理に回避しすぎるにも程がある……。
しかし彼は、特に気にもしない様子で、顔色ひとつ変えずに淡々と答えてくれた。
「……別に気にならないよ。疾しいことしているわけじゃないし。
それに唯は……俺にとって、大事な女の子なんだから。」
「……。」
「……唯は、気になるの?」
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