【10】

6/18
前へ
/518ページ
次へ
. 「なるはずないよ! むしろ……光栄っていうか、何て言うか……」 私の好きな人は、こんなに素敵な人なんだよって。 世界中の人に教えてあげたいくらいなのに……。 そんな私の馬鹿な考えにも、風見君は優しく笑いかけてくれる。 「そうだ……風見君は、進路どうするの? もしかして東大とか?」 「……そこまで頭良くないから。唯、過大評価しすぎ。」 「だって……」 私からすれば、風見君の頭脳は計り知れないくらいなのに。 1時間悩んでも解けない問題を、彼はいとも簡単に正解へと導きだしてしまうのだから。 「風見君は、学校の先生とか似合っているかも! 私に教えるのも凄く上手だし。」 「そう?」 「頭が良いから研究者とかも良いかも。ロボットとか発明するの。」 頭がよければ、未来への可能性は広がる。 雅さんが頑なに『将来のために勉強はしっかりしておきなさい』と言っていた意味が、今になって漸く分かった。 「俺……やりたいことは今でも、変わらないよ。 キッカケは彩月じゃないって言ったら嘘になるけれど……。 でも、他にやりたいこともないから、進んでみようかと思っている。」 .
/518ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4104人が本棚に入れています
本棚に追加