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颯に告白をされた件を話せば、少しは驚いたような素振りを見せてくるかと思っていた。
冷やかされる覚悟もしていたのに、雅さんの表情は真剣そのもの。
私の悩みに、真っ直ぐに向き合ってくれているのだと思った。
だから私も、正直な想いを曝け出す。
「好きだって言われた日から………颯の、私に向けてくる視線が怖い。」
「……。」
「知らない男の人みたいで、怖いの……。」
今までなら、喧嘩しながらじゃれ合うこともあった。
冗談で羽交い絞めにされることもあった。
そして、それを特別なことだと意識することもなかった。
しかし、颯の『好き』という感情を知ってからは、同じようにはいかない。
「……それは、唯自身がそう決めつけちゃっているからじゃないの?」
「えっ……決めつけるって……?」
「想いに応えられなかったから、自分は憎まれても仕方ないって。
唯が、はーちゃんに遠慮する気持ちがあるから……でしょ?」
「……。」
確かに、思い当たる節はある。
想いに応えられない私が、変わらずに傍に居続けることは、颯を余計に苦しめるんじゃないかって。
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