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「はーちゃんは、唯が彼と上手くいっていることが、気に食わないんじゃないと思うの。」
「……。」
「唯が、はーちゃんのことを避けていることが……きっと寂しいのよ。」
私が颯を避けてしまっていたのは、それが彼のためだと思っていたから。
けれども、私が逆の立場だったら、そんな腫れ物に触れるような接し方はして欲しくない。
颯は馬鹿で意地悪で、どうしようもないヤツだけど……。
本当は誰よりも正義感が強くて、自分の信念を持っていて。
そして、小さい頃から私を何度も守ってくれた。
「私……颯に、酷いことしちゃった。」
恐怖心が完全に消えたわけではない。
ただ、考えてみれば分かることだから。
颯は、私を泣かせるようなことは絶対にしないと。
「……相手は、はーちゃんなんだから。そんな余計な気を遣わなくても大丈夫よ。」
「……。」
「いつも通りに振舞えば、はーちゃんも応えてくれるはずよ。子供の時に喧嘩したときも、そうだったでしょ?」
「……そうだったね。」
雅さんの言葉で、気持ちが楽になった。
今度、颯に会ったら……明るく話しかけてみよう。
そうすれば、颯もきっと何事もなかったかのように応えてくれる。
颯は、そういう人だから……。
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