【10】

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. 「はーちゃんは、唯が彼と上手くいっていることが、気に食わないんじゃないと思うの。」 「……。」 「唯が、はーちゃんのことを避けていることが……きっと寂しいのよ。」 私が颯を避けてしまっていたのは、それが彼のためだと思っていたから。 けれども、私が逆の立場だったら、そんな腫れ物に触れるような接し方はして欲しくない。 颯は馬鹿で意地悪で、どうしようもないヤツだけど……。 本当は誰よりも正義感が強くて、自分の信念を持っていて。 そして、小さい頃から私を何度も守ってくれた。 「私……颯に、酷いことしちゃった。」 恐怖心が完全に消えたわけではない。 ただ、考えてみれば分かることだから。 颯は、私を泣かせるようなことは絶対にしないと。 「……相手は、はーちゃんなんだから。そんな余計な気を遣わなくても大丈夫よ。」 「……。」 「いつも通りに振舞えば、はーちゃんも応えてくれるはずよ。子供の時に喧嘩したときも、そうだったでしょ?」 「……そうだったね。」 雅さんの言葉で、気持ちが楽になった。 今度、颯に会ったら……明るく話しかけてみよう。 そうすれば、颯もきっと何事もなかったかのように応えてくれる。 颯は、そういう人だから……。 .
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