【16】 sudden point

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. いっちゃんの問いかけに、慶子さんは代わりに全てを話してくれた。 私は彼の反応を見るのが怖くて、ずっと俯いたままだった。 話が終わると僅かな沈黙が訪れ、最初に響いたのはいっちゃんの低い声だった。 「……慶子さん。」 「ん?」 「俺……唯とふたりで、話がしたいです。」 「……そうね。そのほうがいいわ。」 その言葉に慶子さんも同意し、私たちに気遣いながら静かに部屋を出て行った。 ふたりきりで残された部屋には、いつもの温かくて穏やかな空気は流れていない。 話がしたいと言ったものの、全く口を開かない彼のことが気になり、ゆっくりと顔を上げる。 すると彼は真っ直ぐな視線で、私を見つめていた。 「……いつ、異変に気付いたの?」 「………1週間前、くらい。」 「……どうして、相談してくれなかったの? そんな大事なこと。」 私が彼の立場なら、きっと同じことを訊いている。 そして彼もきっと、同じ選択をしているだろう。 私以上に忙しそうな彼に、余計な心配をかけさせたくなかった。 .
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