【16】 sudden point

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. 「だって……これは、私の問題だから……」 「どうして、そんなに他人行儀なんだよ。俺じゃ頼りなかった?」 「そうじゃないよ、ただ……心配かけたくなくて……」 「心配くらいかけさせろよ!!」 怒りにも似た彼の声が響き渡る。 それに対しての恐怖は全くなかった。 それ以上に怖いのは目の前にある現実。 指が動かなくなり、夢を失うこと。 「それとも何? 俺たちって、その程度の関係だったわけ?」 「……。」 「苦しみや辛さと分かり合いたいっていうのは……俺の、勝手なひとりよがりなの?」 そんなことないよ、って。 それすらも声にままならない。 彼の言葉に答えられずにいると、暫くして今度は落ち着いた声が耳に届いた。 「……ごめん。辛いのは唯なのに、こんな風に責め立てるのは間違いだよな。」 「……。」 「……本当に、ごめん…………。」 私を強く抱き寄せる、その身体は微かに震えている。 同じように抱擁で応えることでしか、今の気持ちは伝えられないような気がした。  そして朝まで、いっちゃんは、ずっと抱きしめていてくれた。 陥った孤独から、 私を救い出してくれるように ―――― .
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