【16】 sudden point

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. 「……少し、考えます。これからのことは。」 けれども、今すぐに何かを行動に移せるような心境ではない。 まだ、そこまで気持ちを割り切ったわけではない。 気丈に振る舞ってはいても、内心は先の見えない未来に不安が募るばかりなのだから。 「……わかったわ。何かあったら遠慮なく来てね。」 「はい……。ありがとうございます。」 部屋を出ていくとすぐに、外で待っていたいっちゃんと目が合った。 不安げな瞳を向けてくる彼に対して、私はにこりと微笑み返した。 恐らくそれが悲しさを隠した表情だったことに、彼はきっと気付いている。 「いっちゃん……あのね………」 「とりあえず、帰ろうか。」 「え?」 私が聞き返すと、いっちゃんは優しく手を握ってくれた。 もうピアノを奏でることのできない左の小指に、彼の温かい体温が伝わる。 「……何も、不安に感じることはないよ。俺が、ずっと傍にいるから。 絶対に大丈夫なんて無責任なことは言えないけど……。 でも、唯の辛いことは、俺も一緒に受け止めていくから。」 .
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