【17】 accidental reunion

2/28
4068人が本棚に入れています
本棚に追加
/518ページ
. 2ヶ月ぶりに帰ってきた釧路は、3月でもまだ雪が深く降り積もっていた。 年末に比べて閑散としている平日の昼間の空港。 バスと電車でのんびり家路へと向かう予定だったが、到着ロビーには見慣れた姿があった。 何故か仁王立ちをしながら、鋭い目でこっちを見つめている。 そして開口一番には意味不明な言葉が飛び出してきた。 「……おみやげ、コアラ連れて帰ってきたか?」 「は? どうしてコアラ……?」 「だって、オーストラリアって言ったらコアラだろ。お前、そんなことも知らないで2年間も住んでいたのかよ。」 「……。」 突っ込みどころ満載の状況から始まった、颯との会話。 私の近況を知って、少しでも元気づけようとわざと馬鹿に徹しているのか、それとも本気で馬鹿なのか、それを確かめる術はない。 「今日、仕事どうしたの?」 「ん? 唯が帰ってくるって言ったら、親父が迎えに行って来いって。」 「そうなんだ。」 颯は高校を卒業してから地元でバイトをしながら、実家の手伝いをずっとしている。 若い担い手が札幌や東京へ流れて行ってしまう中で、何だかんだで重宝されている存在だ。 .
/518ページ

最初のコメントを投稿しよう!