【17】 accidental reunion

6/28
4083人が本棚に入れています
本棚に追加
/518ページ
***** 「それにしても、思ったより元気そうで安心したわ。」 「そうかな?」 「唯のことだから、またひとりで抱え込んで落ち込んでいるんじゃないかって。」 今、百香と夕飯を食べに、市内のカジュアルダイニングに来ている。 前に座る彼女の図星な言葉を聞きながら、私は笑顔で誤魔化す。 勿論、彼女がそのことに気付かないはずもなく、小さく溜息をついた。 「……暫く、こっちにいるの?」 「2週間くらいからかな。今月中には札幌の病院でリハビリ始まるから、そっちに移る予定。」 本当はもっとゆっくりしたかったのだけど、通院の関係もあって、2週間後には札幌へ行くことになっていた。 向こうで通院しながら経過を見ていく予定だ。 ありがたいことに、父が借りているマンションもあるので住むところにも困らない。 「札幌ねぇ。ま、オーストラリアよりは近いし、すぐに会いに行ける距離で良かった。」 「……。」 「でさ、コアラは?コアラグッズ、お土産で買ってきてくれた?」 「……。」 颯と百香は、本当に似た者同士だと思う。 早くくっついてしまえばいいのに、と心底思う。 .
/518ページ

最初のコメントを投稿しよう!