【17】 accidental reunion

8/28

4083人が本棚に入れています
本棚に追加
/518ページ
. 「で、何の話してたっけ?」 「あんたがビーフシチューの肉だって話でしょ。」 「あ、そうそう。」 「正直、どうでもいいんだけどね。肉だろうが人参だろうが。」 そう言いながらも、自然におしぼりとメニューを渡し、颯もそれを当然のように受け取っている。 こういう雰囲気が昔とは少し違って、私の知らないふたりの関係図が見えて新鮮だった。 ちょっとドキドキしちゃうかも……。 「ん、どうかしたのか?」 熱烈な視線に気づいた颯からの問いかけに、私は焦って大げさに首を振る。 すると、その目は急に優しさを増した。 「ふっ……変な奴。」 「どうせ変な奴ですよ。」 「ごめん。つい本音が出ちまった……」 「慰めになってないし!」 百香とは違って、私と颯の関係は昔から変わりそうにない。 存在の大切さに気付いただけ。 そしてそんな私たちに、百香が寂しげな視線を送っていたことなんて、この時の私は全く気付かなかった。 .
/518ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4083人が本棚に入れています
本棚に追加