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それからすぐ、奈央ちゃんの携帯に連絡が入った。
どうやら、彼が到着したとのこと。
お酒は全く強くないので、初対面から失態を見せないようにと、冷たい水を飲んで気持ちを落ち着ける。
「あ、こっちだよー!」
明るい声が響き、奈央ちゃんはひとりの男性に元へと駆け寄る。
嬉しそうに何かを話しかけている彼女の姿が微笑ましくて、こっちまで幸せな気持ちになってしまう。
いいなぁ……こういう雰囲気。
微かに酔った状態で、そんなことを暢気に考えていると、彼氏を連れた奈央ちゃんが戻ってきた。
「いっちゃん! こちらが、さっきメールで言っていた ―――― 」
挨拶をしようと顔を上げ、立ち上がろうとする……が。
一瞬、息が止まるかと思った。
こんなことが現実で起きるわけないと思っていた。
「……唯、ちゃん………?」
その呼びかけに、ぼんやりしていた意識が覚醒する。
遠い記憶を呼び覚ます声。
「やっぱり、唯ちゃんだよね……?」
「……友井君………?」
そう―――。
それは、運命のいたずらのような再会だった。
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