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まさか、こんな形で再会するだなんて……。
そう思っていたのは、きっと私だけじゃないだろう。
見つめ合ったままの私たちを、奈央ちゃんが促す。
「もしかして……2人、知り合い?」
その声にハッとして我に返る。
友井君を見つめる彼女が、少し不安気な表情を浮かべているのに気づき、事実を包み隠さずに話した。
「……友井君は、高校時代の友達なの。学校は違うんだけどね。
だから……こんなところで会うなんて……しかも、奈央ちゃんの彼氏だったなんて驚きで。」
「俺も……まさか、こんなところで会うなんて驚いた。唯ちゃんは、東京にいるとばかり思っていたから……。」
しかし、少しずつ目の前で起きていることを理解し始めると、戸惑いよりも嬉しさの方が込み上げてきた。
久しぶりに再会できたこと、元気そうにしていること、昔と変わらずに明るい笑顔を向けてくれること。
「まさかと思ったけれど、そんな偶然って本当にあるんですねぇ……」
「うん。びっくりして……まだ信じられないよ。」
私の言葉に、友井君は同意の笑みを向けてくる。
8年ぶりに会う彼は昔と全く変わらない。
「ところで……唯ちゃんは、どうして札幌に?」
「うん……実はね……」
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