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「いっちゃんの馬鹿!! もう知らない!!」
良く晴れた爽やかな5月の青空の下、彼女に告げられた言葉。
付き合い始めて5年目になる奈央とは、いつも円満な関係が続いている……のだけれど。
時にこんな小さな言い争いが大きな喧嘩へと発展していく。
大抵は3日も経てば何事も無かったかのように、修復しているのだけれど……。
「……それは、友井君が悪いよ。奈央ちゃんに非はないじゃん。」
5日経っても変わらない状況に焦りを感じ始めて、第3者に意見を求めた。
俺と奈央との共通の知人である唯ちゃん。
喧嘩の発端を話すと、即回答された意見がこれだ。
「俺はさ、今は無理だって言ったの。今年から高学年の担任になったから、マジで大変なんだよ……」
「そんなことより、俺らに相談する前に森山さんに謝るべきなんじゃないのか?」
そう言いながら冷たい視線を送ってくるのは、幼いころからの付き合いである章吾。
長年こうやって一緒にいるが、一目見て不機嫌な雰囲気を醸し出している。
「……唯ちゃんの前でその態度は如何なものかと思うけど。」
「何が……?」
「唯ちゃんと二人きりになりたいのは分かるけどさ、たまには俺の悩みにも付き合ってくれないと……。
だいたい、唯ちゃんとヨリ戻せたのって、誰のおかげだと思ってるわけ?」
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