【12】

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. 「ごめんなさい、私……」 「唯は悪くない。俺が……悪いんだ。」 そう言いながら、彼は悲しげな瞳を見せてくる。 見ているのも辛くて、首を左右に振って必死に言葉を否定した。 「私……風見君のこと応援するって決めたのに、余計な御節介ばかりだったから……。」 「それは違う。俺がひとりで焦っていただけなんだ。」 そう言って、風見君は私に手をそっと握る。 たったそれだけのことで、気持ちがひとつになれたような気がした。 「……焦らなくていいんだよ。風見君が一生懸命なのは、私が傍でいちばん見ているんだから。」 だから、ひとりで抱え込まないで……。 もっと本音を見せてくれていいんだよ。 そこまで言うとまた御節介になってしまいそうで、口にはできなかった。 けれども、そんな私を風見君は優しく抱きしめてくれた。 そして消え入りそうなほど小さな声で、耳元で「うん」と呟いた。 まるで、自分に言い聞かせているみたいに。 ゆっくりと彼の温もりが離れていくと、そこにはいつもの優しい笑顔が揺れていた。 そして大きな手の中に納まっていたのは、小さな金色のリングだった。 「……唯、合格おめでとう。」 .
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