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そりゃあね、元々顔はよかったし、今や180の長身、元バスケ部で運動神経抜群、ひょうきん者で理系上位の成績。 つまりは、完璧野郎の人気者。 浮いた噂は聞かないのが、不思議なくらい。男子と遊んでばっかのアホな奴、としか思ってなかった。 そんな奴が、学年一の美女と……。 胸の奥底に、何か冷たくて重たい物を感じる。 「…で、坂口よ」 空き教室に入り、その中央あたりで立ち止まった松田は、ゆっくりと振り返った。至って静かな声色であたしの名前を呼ぶ。 「何よ、松田」 それに対してあたしと来たら…動揺が顔にも声にも出まくり。 わざと離れた場所で立ち止まったのに、松田はその距離を勝手に詰めてくる。後ずさりしたい衝動を堪えつつ、松田を睨み付けた。
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