2人が本棚に入れています
本棚に追加
「だ、誰が彼氏!!」
人間ってのは混乱すると、大声になるみたい。少なくともあたしはそう。
精一杯背伸びして、20cmも上にある松田の顔を睨み付けてやった。
「…てゆーかさ」
あたしが平常心を失ってる時はいつもそう、松田は冷静。囁くような、でも透る声で言った。
「そんな顔近づけて…」
薄い茶色の瞳が、あたしの目、口、首筋となぞっていく。教室中の視線はもはや、あたしたちのもの。
いつになく真剣な松田の表情に、鼓動が徐々に速度を上げる。
ナニコレナニコレ、松田何なの!!
「ちゅーすんぞコラ」
真面目な顔のまま、そう言い切った。
最初のコメントを投稿しよう!