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「イチャイチャすんなそこ!」
「うわー」
「ちゅーしろぉ」
「やだー」
歓声と野次が入り交じった叫びが、教室を満たす。頭ん中真っ白のあたしだけ置いてけぼり。
それを良いことに、松田はあたしの肩を抱き寄せ、勝手に喋り始めた。抵抗する間もなかった。
「お前、ツンツン髪嫌いっつーから髪立ててこなかったんだけどー」
「はっ?!」
「男は無造作だろ!とか言ってたじゃん」
「な、なぜそれを!!」
あたしすら覚えてなかったようなことを、よくコイツは覚えてるなぁ、なんて感心してる場合じゃない。離れなきゃ!
で、腕の中でもがくんだけど、松田は細いくせに力が強い。逃げられない。
「馬鹿かお前…はぁー…」
大袈裟なため息をついて、呆れ返る。
正直言って、松田はどんな顔も様になる。
それに今日は、眼鏡クン時代のように髪を下ろしてるから、いつもと感じが違う。
つまりは緊張してるんです、あたし。
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