堕ちる所まで堕ちてやる

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教えてもらった通りに、真っ直ぐ廊下を進んで行き、突き当りを右に曲がるとプレートに女子更衣室と男子更衣室と書かれた扉が、それぞれ間隔を空けてあった。 「失礼しまーす…」 控えめにノックした後、沙耶はそろっとドアを開ける。 「!」 ちょうど、沙耶があゆみから借りたスーツと同じデザインのものに着替え終わったらしい中年の女性が、ジロっとこちらを見ていた。 ―うっ。 沙耶はその貫禄ある巨体と眼差しに一瞬たじろぐ。 が。 「あら!?もしかして瀧澤さんのお友達かしら?」 怖かった視線は直ぐに和らぎ、中年女性は屈託なく笑った。 「はい!秋元沙耶と言います!よろしくお願いします!」 言いながら、沙耶は勢い良く頭を下げる。 「はいはい、話は聞いてるわよ。急にで悪いけど、今日は宜しくね!私の名前は今井よ。」 今井はそう言って、胸に着けたバッジを見せてくれる。 「あ、よろしくお願いします」 沙耶は上げかけた頭を、再びぺこりと下げた。 「瀧澤さんから、働き者とは聞いてたけど、こんなに早く来るとは感心だわ。」 ―なんだ、怖い人じゃなかったんだ。。 今井の温かい言葉に、沙耶はほっと胸を撫で下ろし、パーティーが始まる時刻迄に、一通りの仕事の流れを教わることに成功した。
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