男心と秋の空

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======================== 沙耶を仮眠室まで案内して、着替え終わるのを待っている間、坂月はテーブルの上にパソコンを広げ、作業を進めていた。 そこへ。 「ちょっと、出てくる。」 ジャケットを羽織りながら、石垣が部屋から出てきたので、坂月は顔を上げた。 「あ、秋元さん、今着替えてるので、もう少しかかりそうですけど。」 「別にあいつは要らない。暫くは使い物にならないだろ。」 言いつつ、石垣の視線は、脇に寄せてある袋に向けられる。 それに気付いた坂月は、困ったように笑った。 「視察なら視察と素直に言えば良かったんじゃないですか?」 「視察?」 石垣が意外そうに訊き返すので、坂月は首を傾げて見せた。 「違うんですか?」 「まさか。あいつにそんなのできるわけねーだろ。」 あっさり否定されて、坂月は拍子抜けする。 「え、じゃなんで―」 「ああでもしないと、あいつ食わないから。じゃ、夕方には戻る。」 短く答えたかと思えば、石垣は既に自動ドアを抜けて姿を消していた。 「…あ、しまった。」 一瞬の後、坂月は慌てて石垣の身辺の警備を手配する為内線を鳴らした。 受話器を耳に当てながら、先程つい、言葉を失ってしまった自分を叱咤する。 要は沙耶の為に用意した朝食だったということか。 「回りくどいというか、なんというか…」 コール音をBGMに、複雑な気持ちが、坂月に独り言を呟かせた。
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