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それから数分後。
自動ドアが開いた音がして、坂月が再びパソコンの画面から顔を上げると。
「ありがとうございました。」
雨に濡れていた沙耶が、着替えを済ませて、中に入ってくる所だった。
「ドライヤーも、お借りしてしまいました。」
すみません、と恐縮しながら謝る沙耶を見て、坂月はとんでもないと首を振る。
「社長は人使いが荒いので、秘書の方が何があっても解決できるよう、色々用意してあるんです。むしろ、好きに使っていただいて良いんです。」
新しいスーツに身を纏う沙耶を前に、同じものをあと5着は用意させておいた方が良いかもしれないと、坂月は思った。
「では、早速仕事内容の説明をさせていただきます。」
坂月が、沙耶に伝えることは大きく分けて、4つ。
1つは、フロアの設備の説明。
「もうご存知かとは思いますが、このフロア全体は、社長と幹部の者、秘書しか入ることができないゲートがあり、応接セットも、大事な来客用のもののみとなっております。」
例えば家族とか、親戚、親しい友人などがその部類だと坂月が補足する。
「秋元さんは、大体このデスクに着いて、勤務していただくことになります。」
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