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秘書の机などがある部屋は、社長室、つまり石垣がいつも居座る大きな部屋に繋がっている。
反対側には給湯室が設けてあり、冷蔵庫や電子レンジ、ありとあらゆる種類の茶葉や珈琲等が、ぴっちりと棚にストックしてあった。
そして、その部屋を出て、エレベーターホールを抜けた先に、今しがた沙耶が着替えに行ってきた仮眠室、がある。
洗濯機、乾燥機、バスルーム、全てが完備されており、白を基調としただだっ広い空間には、シンプルなクイーンサイズのベッドがある。
つまりは、ここだけで十分生活していくことができる。
現在の沙耶の家よりよっぽど家らしい。
「そして、今度はスケジュール管理の話ですが、社長のスケジュールは分単位で入ってるんです。」
坂月の説明すべきことの、二つ目の点は、手帖。
設備の取り扱い説明を一通り終えると、坂月と沙耶は再び秘書室に戻ってくる。
坂月は沙耶に椅子に座るよう促した。
「ですから、代々秘書はこの手帖を見て、毎日のスケジュールを書き込み、社長を迎えに行った朝、車内で確認することになっています。」
立ったままの坂月が指差した先、それこそ、黒革の太い手帖が、かなりの威圧感を放ちながら秘書机の上に置かれていた。
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