男心と秋の空

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「移動の時間は常に同行し、中々取れない打ち合わせの時間に充てて下さい。それから―」 坂月から話しておくべき事の3つ目。 「絶対に覚えて頂きたい点として、社長はペニシリン系の薬品の点滴を受け、過去にアナフィラキシーショックを起こしたことがあります。それ以来ペニシリン系とセフェム系は避け、処方される薬は常にマクロライド系にしてもらっています。大抵は専属の医師が居るので大丈夫だとは思いますが、万が一何かあった時には、エピペンを使用し救急車を呼んでください。」 沙耶の前にまたひとつ、アイテムが置かれていく。 そして、4つ目。 「社長は極度の潔癖です。これがまたひどくて、デスクの上に置かれたあらゆる物に対する自分の角度が決まっていて、少しでもズレていると気分を害します。ですのでうっかりでも社長のテリトリーに置かれている物に触れることがないよう、細心の注意を払ってください。その他にも寝起きの機嫌がものすごく悪いとか、朝食は食べないとか、色々見つかってくることはあると思いますが、追々慣れていっていただけると助かります。」 色々遅い情報を、何食わぬ顔して述べる坂月が憎たらしい沙耶。 「…もっと早く教えていただけると助かります。」 坂月の口調を真似て皮肉る。
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