男心と秋の空

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「ちなみに秘書っていうのは秘密を扱う人間でしょうよ!それなのにあんた、私を選んだのよ!?あんたにワインぶっかけるような女に!自業自得でしょ??」 パンパンと自身の頭から粉を払い落としながら、沙耶は額に手を当てたまま、動かない石垣に怒鳴りつける。 「それから、知りたいなら教えてあげるけど!私が今回この仕事を受けたのは、他でもない、生活してくためよ!命かかってるから仕方なく!その上あんたは絶対服従って言うけど―」 大体払い落とせたかなという所で、沙耶は改めて石垣を見つめた。 当の本人はまだ頭を抱えている。 「私は誰にも媚びない。世界中があんたに跪こうとも、私だけは屈しない。だから、あんた以外の人間にだって同じよ。それが嫌ならさっさと首にすることね!」 でも仕事はきちんとできるように、なんとかするわよ、と付け足した。 金が絡むと、というか。 権力が絡むとというべきか。 その二つによって、人間はあっという間に豹変する。 沙耶はそれを間近で見てきた。 だから金持ちは嫌いだ。 金に、欲にまみれ、狂った人間ばっかりだから。 塵を舐めるようにして、命の火を灯すことを、嘲笑う人々。 目の前のこの男のように、信じれる人をも失くしてしまう。
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