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そこへ。
RRRRRRRRRR
「うわ。」
突然の電話のコール音に、沙耶はびくりと肩を震わせた。
「え、出た方が良いのかな。何の電話だろ。」
会社は休みになっている筈だというのに、なぜだろう。
勿論内線のコール音ではない。
外線は基本下で取るので、ここで鳴ることは滅多にない。
直接ここの電話番号を知っている外部の人間がいるのだろうか。
「はい、石垣グループ本社秘書室社長秘書秋元でございます。」
肩書きを噛まずに言えた事に、軽い達成感を覚えつつ、沙耶は相手の声に耳を傾ける。
《―また新しい秘書か、あいつも困った奴だな。そこに諒はいる?》
かけてきたのはどうやら若い男のようだが。
「―失礼ですが、どちら様でしょうか。」
《諒に代わればわかるから別に良い。居るなら代わって。》
横柄な物言いに、沙耶のこめかみがピクリと動く。
石垣の知り合いならば、大方偉い人間なのかもしれないが。
「……失礼ですが、耳は聞こえてらっしゃいますか?お名前をお伺いしているのですが。」
礼儀とかマナーには金持ちも貧乏もないと沙耶は思っている。
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