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「姉ちゃんてさ、友達とかからなんて呼ばれてんの?」
「―はぁ??」
すっとぼけた質問に、構えてしまった分、沙耶はがくりとずっこけた。
「何を言い出すのかと思えば、何それ。」
「良いから。なんて呼ばれてる?」
駿が急かすように言うので、仕方なく記憶を辿る。
「最近は友達とも会ってないからなぁ…。高校時代は、、沙耶とか、さぁや、とか、あっきーとか、、、かなぁ。あと、沙耶ちゃんとか。」
「小さい頃も?」
「へぇ?小さい頃???うーん…やっぱり沙耶ちゃんとか、沙耶とか、さっちゃん、とか…あと…」
そこまで言った所で、言葉に詰まった。
「あと??」
正直余り言いたくはなかったが、仕方なく口を開く。
「…これはあんまり呼ばれたことないけど…さぁちゃんって、呼ぶ子も居たな。」
正確に言えばあんまり、どころじゃなく、そう呼んだのは、記憶に寄ると一人だけだったけれど。
「ふーん、なんだ、面白く無いじゃんね。」
「はぁ??何よ、人が折角答えたのに、その反応?」
駿が一瞬にしてつまらなそうな顔になり、何事もなかったかのように箸を動かすので、沙耶も膨れ面になった。
「いや…なんか、引越しの時に坂月さんが来た時あったじゃん?その時に訊かれたから。」
「―坂月さん?」
駿は既にCMが終わった画面に向きを変えており、沙耶の目には、ここ最近急に広くなった背中だけが映る。
「俺も姉ちゃんが昔なんて呼ばれてたかなんて覚えてないから、沙耶ちゃんとかじゃないですかねぇって適当に答えて、なんでですかって訊いたら、『面白いかと思って』って。だから、すっげぇ変なあだ名だったのかと思ったのに全然フツーじゃんね。」
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