茜色の後の雨と、霞む空

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これには沙耶も首を傾げた。 「坂月さん、なんでそんな変なこと訊いたんだろ…?」 ただの興味本位だろうか。余程引越しが暇だったのだろうか。 「知らねぇけどさぁ。。。姉ちゃんとあの人って最近知り合ったの?」 関心なさげに相槌を適当に打つ駿。 「最近も最近、超最近よ。一ヶ月前まで交わることのなかった赤の他人よ。」 恐らく、臨時のバイトの代替で行くことがなければ、一生縁の無かった部類の人間達だ。 「…だよなぁ。俺はてっきり、もっと昔っから知ってるのかと思ったぜ。」 「―それ、どういう―」 「お!いいねぇ!ナイスピッチング!」 ぽろり、駿の口からころがり落ちた言葉に、直ぐに問い返したにも関わらず、沙耶の声は届かなかったらしい。 「・・・」 沙耶は渋い顔をして駿の背中を睨んでから、汁を啜った。 突然の来客の言葉が、脳裏を掠めていったからだ。 ―『君は本当に諒とは初対面なの?』 ―『その他の人間を余り信用しない方がいい。』 ―『たとえ、どんなに近しい人間でもね。』 あれは一体なんだったのか。 本当ならどういうことなのか、ちゃんと説明して欲しかったのだが、本人にその意思はないらしかったし、予定を繰り上げて終わった会議の為、石垣が戻って来てしまったのだ。 当たり前だが、ちゃんと石垣にも用があったようで、二人で社長室に籠もって昼には帰って行った。 沙耶の記憶には、石垣も坂月も居ないのに。 自分の知らない所で、何かが起きているのかもしれないと漠然と不安になった。
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